好きな素材は、綿100%、リネン、毛糸、ビーズ、革。
幼い頃から日常の光景は、祖母や母が針仕事をする姿。
自然と小学時代から編み物や小物づくりに親しみました。
作家名に拝借した祖母(工藤サト)は、和裁を中心に丹前や寝巻きを手縫い、完成すると、いつも誇らしげな顔で家族に見せてくれました。
布選び、裁断、接着芯のアイロン掛け、ミシン縫い、ファスナー付け、まつり縫い…ひとつひとつの工程を楽しみながら自分らしい作品を仕上げていきたいと思っています。
日本製の生地を愛用しています。
生地の端っこに印刷されている丸い色の並び―通称「耳」のカラーインデックスに惹かれます。
2014.1.26
「さびた針」
実家で掃除を手伝った際、祖母の部屋の畳を返して見つけた一本。生前、畑仕事以外は専ら縫製で、最中に縁のすき間へ滑り落ちたものと想像しています。
亡くなって15年。
ほとんどが赤茶けた針の先端は、当時のままと思われる銀色、ほんの数ミリが陽の光を反射させていました。針のすべりをよくするため、時折、針先を自分の頭で2、3度往復させていた懐かしい姿。髪のあぶらが残っていた先端だけは錆びなかったのか。
「糸、通してけねが」と老眼鏡越しの上目づかい。木綿の白い糸を通していた針穴は、ザラザラの錆びに塞がれそうでした。
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