プロフィール
幾つもの異なる糸が
複雑に重なり 形になっていく
だけど なんだかしっくりくる
私はそんな色合いをとても魅力的に感じます
自分の手で
染色し 糸を紡ぎ そして織る
この全ての工程をとても愛おしく感じます
膨大な時間と労力を要するからこそ
出来上がったときの喜びはひとしおです
世界にひとつだけのモノを貴方に☆
《 ホームスパンについて 》
ホームスパンとは、手紡ぎした糸で手織りした織物のことです。
1.
手紡ぎをするにあたり、まずは原毛を洗う作業から始まります。原毛は、糞や尿・そして泥汚れ・余分な脂 等々.. 最初は獣臭たっぷりです。適度に脂を残しつつ、綺麗に洗い流します。少なくとも半日~数日以上はかかる作業となります。その後、私は1週間ほどかけて自然乾燥させます。
2.
染色する場合はこの段階でその作業を行い、また1週間ほどかけて自然乾燥させます。原毛の種類や色によっては自然色を生かした方がよい場合もあります。
3.
次に原毛のゴミ取り作業に移ります。原毛を丁寧にほぐしつつ、藁などの大まかなゴミを除去していきます。これは特に根気のいる作業で、量によっては 何十時間も要します。しかし、ここまでの作業をいかに丁寧に行うかによって、糸の仕上がり具合にも差が出てくるし、その後の作業の進み具合も大きく異なってきます。やはり、どれだけ心を込めて行うかにより、その結果が如実に表れてくるように感じます。
4.
ここまで終わったら原毛を紡ぐ前の準備に入ります。自分が紡ぎたいと思う番手(糸の細さ~太さ)や風合いによって、ハンドカードにするか機械カードにするかを選択します。カーディングとは、バラバラの原毛を一定方向に揃えるための大事な作業です。
5.
これから、ようやく紡ぎ始めます。何日も何日も、量によっては何か月もかけて黙々と紡ぎ車と向き合います。これも本当に気の遠くなるような作業なのですが、無心になれる至福の時間ともいえます。
6.
紡ぎがおわったら今度はその紡いだ糸を蒸す作業です。蒸して撚り止めをすることにより、紡績糸と同様に使用できるようになります。
7.
ここまで終わったら、仕上がった糸の番手と作りたい物のサイズに合わせて、糸の必要量などを計算し設計します。ここできちんとイメージして組み立てることも重要な作業です。
8.
そして、糸を整経し、機に糸をかけて準備をしたら織り始めます。糸の種類や作ろうとしている物に合わせて筬の打ち込みを変え、丁寧かつ手際よく織っていきます。
9.
織りあげた後は、作り上げた物に沿った処理を行い、最後の仕上げとして " 縮絨 " をします。縮絨とは、平たく言うと繊維を絡ませて密にする加工法です。縮絨することにより、たくさんのメリットがあります
①ゆがみやシワが取れて 生地が安定します。
②格段に手触りもよくなり、他にはない独特の風合いが生まれます。
③繊維を絡ませて密になることにより保温効果が高まります。
例えば、マフラーやショールの場合は、ふんわりとした風合いを出す仕上げに。服地の場合は、逆にしっかりとした仕上げにしたりと縮絨の加減によって調節できます。縮絨後、半端渇きになったところで、優しくアイロンがけをして形を定着させます。そして、完全に乾いたら出来上がりです。
ホームスパンは "軽くて暖かい" "弾力がある" とよくいわれます。それは、手紡ぎことすることにより糸に多くの空気を含ませることができるからです。
それゆえに『 空気を多く含む = 保温性が大きい 』という特性が成り立ちます。その暖かさを肌で感じると、きっと手放せなくなると思います。
ひとつひとつ 時間をかけて 大事に大事につくっています☆